「キャッチコピーを考えるのが苦手で、いつも同じような文になります」
「うまい言い回しが思いつかなくて、投稿の1行目で手が止まるんです」
お店の方から、この2つをよく聞きます。
私たちは兵庫県宝塚市で、地元のお店40社以上のSNSを見てきた兄妹です。人口22万人の街で、SNSの総フォロワーは3万人。支援の現場では、お店の方が書いた文を一緒に直す時間がかなりあります。
この記事では、私たちが実際に直した文を、直す前(✕)と直した後(◯)のまま5つ並べます。先にお断りしておくと、これは「こう書けば正解」という話ではありません。私たちが現場でこう直している、という記録です。言葉を1つ変えただけの効果は数字で切り分けられていないので、いまも試しながら続けています。
それでも、5つを書き出して比較すると、直し方には共通点がありました。結論から書きます。
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直すときに、うまい言い回しは考えていない。ほとんどが「削る」か「お客さんが使う言葉に替える」のどちらか
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アカウント名は、店名の前に「何屋か」を置く
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動画のテロップは、1カット12文字前後まで削る
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最初のひとことは、サービスの説明ではなく「行くと何が変わるか」
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お願いの文は、相手が次にする動作まで書く
以下、順番に書きます。
間違い① アカウント名が「店名だけ」になっている
●直す前と直した後
地元の新車販売店のアカウントです。
✕「(店名)宝塚◯◯店」
◯「新車とおでかけ|(店名)宝塚◯◯店」
●なぜこう直したか
店名は、すでにお店を知っている人にしか意味が伝わりません。インスタの検索やおすすめで初めて名前を見た人は、店名だけでは何屋さんか分からないまま通り過ぎます。
直したのは、店名の前に「新車」と「おでかけ」を足したことだけです。このアカウントは、クルマの紹介だけでなく、地域のカフェやパン屋などドライブで行ける場所も発信しています。何を売っていて、フォローすると何が見られるのか。それを名前の先頭に出しました。
お店なら、「何屋か」+「地名」が名前に入っているかを見てください。語感のいい愛称は捨てなくて大丈夫です。投稿の中のシリーズ名として使えます。名前は、覚えてもらう前に、まず見つけてもらう場所だと考えています。
プロフィール文の直し方は、別の記事に書きました。
https://note.com/takarazuka_trip/n/nd54e5ee7d81b
間違い② お店の中の言葉を、そのままお客さんに見せている
●直す前と直した後
地元の子ども体操教室の、ハイライト(プロフィールの下に並ぶ丸いボタン)の名前です。
✕「イベント広告」
◯「イベント」
●なぜこう直したか
「イベント広告」は、お店の側の整理の言葉です。作る側にとっては「広告用に作った画像」なので自然ですが、見る側には関係がありません。それに、「広告」という言葉を見ただけで閉じる方もいます。
これは、書いた本人がいちばん気づきにくい種類の間違いだと感じています。社内で毎日使っている言葉は、自分には普通の言葉に見えるからです。「広告用」「告知用」「新規向け」。私たちも打ち合わせでは使いますが、お客さんに見える場所には出さないようにしています。
お店なら、プロフィール・ハイライト・メニュー名を上から読んで、「これはお客さんが自分で口にする言葉か」を1つずつ確かめてください。口にしない言葉は、削るか、お客さんの言い方に替えます。
間違い③ 動画のテロップに、全部書こうとしている
●直す前と直した後
地元のカフェの、かき氷の動画に入れるテロップです。
✕「お好みで、蜂蜜レモン果肉の入ったレモンシロップをかけて」(25字)
◯「お好みで蜂蜜レモンシロップも」(13字)
●なぜこう直したか
直す前の文は、内容としては正確です。果肉が入っていることは、お店のこだわりでもあります。
ただ、動画の1カットは2〜3秒です。25字は、その間に読み切れません。読み切れないテロップが続くと、見ている人は読むのをやめて、そのまま次の動画へ行きます。
私たちは、テロップを1カット12文字前後にすると決めています。削った「果肉入り」は、消したのではなく、映像に任せました。シロップをかける場面を寄りで撮れば、果肉は見えます。文字で言うことと、映像で見せることを分ける。これが決まってから、テロップで迷う時間が減りました。
間違い④ 最初のひとことが、サービスの説明になっている
●直す前と直した後
地元のピラティス教室の、動画の冒頭に出すひとことです。
✕ マシンの名前、資格、レッスンの内容から始める(※これは実際の文ではなく、教室の動画でよく見かける形です)
◯「夏服が似合う体に!」
●なぜこう直したか
◯のひとことは、ピラティスの説明を1つもしていません。書いてあるのは、「行くと自分がどうなるか」だけです。
マシンの名前や資格は、お店にとっては大事な違いです。でも、まだ行くと決めていない人には、その違いを比べる物差しがありません。先に「どうなれるか」が伝わって、興味を持った人が、あとからマシンや資格を見に来ます。順番の問題だと思っています。
飲食店なら「自家製の◯◯を使用」の前に「仕事帰りに、ひとりで30分で食べて帰れる」。サロンなら施術の名前の前に「朝のセットが5分で終わる」。説明を捨てるのではなく、2番目に回します。
間違い⑤ お願いの文が、ふんわりしている
●直す前と直した後
これは私たち自身の、地元のイベントを紹介する動画の台本です。
✕「友達にシェアして」
◯「一緒に行きたい人にメンションして送ってあげて」
もう1つ、同じ台本から。
✕「天気を気にせず駅直結で楽しめる」
◯「駅直結やから、雨でも大丈夫」
●なぜこう直したか
「シェアして」と言われても、誰に、どうやって、が決まっていないと手は動きません。「一緒に行きたい人に」で送る相手が1人思い浮かび、「メンションして」でやることが決まります。お願いは、相手が次にする動作まで書くようにしています。
2つ目は、順番を入れ替えただけです。「駅直結だから(理由)→雨でも大丈夫(結論)」。理由と結論が一本道になっていると、耳で1回聞いただけで分かります。動画の言葉は読み返せないので、聞いた順に意味が通る形にそろえています。
あわせて、この台本からは「やばいから聞いて」「なんと」も削りました。強い言葉を足すより、中身を早く言うほうを選んでいます。
直すとき、うまい言い回しは考えていませんでした
ここが、お店の方にいちばんお伝えしたいところです。
5つを書き出して比較して、自分たちでも意外だったのは、どれも「うまい言い回し」を考えていなかったことです。
①は、何屋かを足しただけ。②は、2文字削っただけ。③は、半分に削って映像に任せただけ。④は、説明を2番目に回しただけ。⑤は、相手の動作を書いて、順番を入れ替えただけです。
キャッチコピーが苦手、という方の多くは、気の利いた言葉を新しく生み出そうとして止まっているように見えます。でも私たちが現場でやっているのは、生み出すことではなく、お店の側の言葉を、お客さんがふだん使っている言葉に戻す作業でした。お客さんが使う言葉は、考えなくても、お店にもう届いています。予約の電話、レジでのひとこと、口コミの文。そこにある言葉のほうが、考えて作った言葉より伝わると思っています。
だから、文を直す前に私たちがやっているのは、書くことではなく、聞くことと、削ることです。
もちろん、これが唯一の正解だとは思っていません。言葉を1つ変えた効果は、投稿の内容や時期と混ざって、数字ではまだ切り分けられていません。それでも、直す方向に迷ったときの物差しとして、いまはこの2つを使い続けています。
今日からできること
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アカウント名を見て、店名の前に「何屋か」と「地名」が入っているか確かめる
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プロフィールとハイライトを上から読んで、お客さんが口にしない言葉に印をつける
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次に作る動画のテロップを、1カット12文字前後まで削る。削ったぶんは映像で見せる
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冒頭のひとことを、「行くと何が変わるか」に替える。説明は2番目に回す
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「シェアして」「来てね」を、相手が次にする動作(誰に・何をする)まで書き直す
目安は、12文字と、「お客さんが自分で口にする言葉かどうか」です。全部を一度に直す必要はありません。まずは1つだけ直して、1か月そのままにして様子を見る。私たちもそうしています。
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