小さなお店のSNS、AIに任せる仕事と自分でやる仕事。実際に分けている4つと1つとは?

「AIに投稿を書いてもらったけど、うちの店の言葉じゃない気がして」

「結局どこまでAIに任せていいのか分からなくて、全部自分でやっています」

お店の方とAIの話をすると、この2つのどちらかが出てきます。全部任せて失敗した人と、怖くて何も任せていない人です。

私たちは兵庫県宝塚市で、地元のお店40社以上のSNSを支援している兄妹です。自分たちの発信は、書く原稿は1日1本のまま、外に出る発信を1日5本にするところまでAIに手伝ってもらっています。ただ、AIに任せていない仕事が1つだけあります。

この記事は、9月に書いてきた記事のまとめです。AIに任せている仕事を4つ、任せていない仕事を1つ、それぞれの元記事へのリンクつきで書き出しました。読み終わると、「どこまで任せるか」の線が自分で引けます。

結論から書きます。

  1. AIに任せているのは、媒体ごとに言い換えて予約する・横並びにして比較する・案を出す・数字を比べる、の4つ

  2. 任せていないのは、「誰に・何を・どの言葉で」を決めること。これは1つだけ

  3. 目安は、投稿までの工程を6つに分けたとき、判断がいるのは1つだけ。残りは任せてよい

  4. 案は10出させて、選ぶのは人。理由はAIに決めさせず、「どこが違うか」で止める

  5. 前提として、その日の一次情報と体験を、毎日AIに伝える。AIには、それを元にしか書かせない

以下、よくある間違いを3つ、それからAIに任せている4つの仕事を順番に書きます。

間違い① 「投稿を書いて」とだけ頼む

●問題点

前提を伝えずに「うちのカフェの投稿を書いて」と頼むと、AIは空白を平均で埋めます。出てくるのは、どの街のどのカフェにも当てはまる文です。私たちが架空のお店の情報でリール台本を頼んだとき、語り手を1行変えただけで、出てくる文の向きが変わりました。AIはこちらの前提を写す鏡で、台本の質はAIの性能ではなく、お店の人が決めている前提の量で決まります。

●対策

頼む前に、誰に・何を・どの言葉で、を決めます。決めていない項目は、AIに書かせず【要確認】と残します。詳しくは、プロンプトの間違いの記事に書きました。


間違い② 「なぜ伸びたか」をAIに決めさせる

●問題点

伸びた投稿をAIに貼って「なぜ伸びたと思う?」と聞くと、もっともらしい理由が返ってきます。でも、それは確かめられない話です。理由を決めた瞬間に、次の投稿がその理由に寄っていきます。

●対策

AIに聞くのは「どこが違うか」までにして、理由は決めません。伸びた1本は答えではなく、次に試す候補です。基準は、同じ形で3倍・2回。詳しくは分析の間違いの記事に書きました。


間違い③ 全部任せるか、全部自分でやるかの二択にする

●問題点

工程を分けないと、この二択になります。どちらも続きません。全部任せると店の言葉が消え、全部自分でやると時間が消えます。

●対策

1本の投稿が出るまでの工程を、私たちは6つに分けました。何を書くか決める・書く・媒体ごとに形を整える・画像を作る・予約する・翌日数字を見る。このうち判断がいるのは最初の1つだけで、残りは順番どおりに手を動かす仕事でした。ここが分かれてから、AIに任せる仕事と、自分でやる仕事が決まりました。


マーケターが実際にAIに任せている4つの仕事

1)媒体ごとに言い換えて、予約する

1本の原稿を、インスタ・X・Threads・メール向けに言い換えて、時刻を決めて予約するところまでをAIに任せています。ここには判断がありません。書く量は1日1本のまま、外に出る本数が5本になりました。お店なら、インスタの投稿文を「Googleマップの投稿向けに」「公式LINE向けに」と言い換えてもらうところからで十分です。

2)横並びにして比較する(抜けと、ずれを見つける)

お店の方にお渡しする道具を7本そろえて「これで全部」と思った日に、その7本を横並びにしてAIに見比べさせ、足りないものを聞いたら、「3本足りません」と返ってきました。抜けているものは自分の目には映りません。同じやり方で、自分たちの8つの媒体のプロフィールを1枚の表にしたら、名前が3種類、地名の書き方が3通りありました。AIが賢いから見つかったのではなく、横に並べて見比べたから見つかりました。


3)案を出す(10出して、1つ選ぶ)

地元の子ども体操教室の支援で、動画の冒頭に出すひとことや企画の名前を決めるとき、過去に反応が良かったタイトルをそのままAIに見せて「この調子で10案」と頼んでいます。出てくるのは「ペンギン歩き」のような、親御さんが子どもの動きを想像できる言葉です。選ぶのは先生です。1案だけ出させて採用すると、AIの平均に寄ります。10出させて人が選ぶと、その教室らしい言葉が残ります。

4)数字を比べる(表にして、換算する)

地元のお店のPR投稿の結果をまとめるとき、投稿から2日後の再生・到達・保存の数字を貼って、「お店の方が初めて見ても分かる表に。同じ人数に届けるのに、広告やチラシならいくらかも並べて」と頼みました。数字を並べるのも、換算するのも、判断のいらない仕事です。判断がいるのは、その表を見て次に何を頼むかで、そこは人が決めます。

毎日AIに伝えているもの

ここまでの4つには、共通の前提があります。私たちは毎日、その日にあった一次情報と体験をAIに伝えています。

毎晩、その日の仕事を報告の形で書き出します。誰と会って何を聞かれたか、打ち合わせでお店の方が何に反応したか、投稿の数字がどう動いたか、自分たちが何に迷ってどう決めたか。翌朝AIが下書きにするのは、この報告にたまった出来事です。この記事に出てくる「3本足りません」も、体操教室の「ペンギン歩き」も、カフェの打ち合わせも、全部その日の報告に書いてあった話です。

AIが書いた文を「うちの店の言葉じゃない」と感じるとき、足りないのはAIの性能でも頼み方の工夫でもなく、伝えている材料です。AIはお店に立っていないので、今日のお客さんとの会話を知りません。材料を伝えなければ、どの店にも当てはまる文で埋めるしかありません。

お店なら、閉店後に3行で十分です。今日いちばん出たもの、お客さんに聞かれたこと、自分が気づいたこと。これを毎日AIに伝えて、「この中から1つ選んで投稿の下書きにして」と頼む。ネットにない話が、毎日1つずつ投稿の材料としてたまっていきます。

言い換えて予約する・横並びにして比較する・案を出す・数字を比べる。4つとも、この材料があって初めて動く仕事です。

AIに任せていない1つの仕事

「誰に来てほしいか・何を・どの言葉で」を決めること。これだけは任せていません。

理由は単純で、その答えはAIの中にはなく、お店に来ているお客さんの中にあるからです。地元のカフェの打ち合わせで、プロフィールに書く「誰に来てほしいか」を店主さんと一緒に言葉にしたとき、最初に出てくるのはこだわりの説明で、お客さんの話はなかなか出てきませんでした。看板メニューを目当てに来る方を思い浮かべていって、ようやく2種類のお客さんが見えて、プロフィールの1行が決まりました。この工程をAIに任せると、どの街のどの店にも当てはまる1行になります。

決めるのは人、横並びにして比べるのはAI

ここが、お店の方にいちばんお伝えしたいところです。

この9月に書いた記事を並べ直して気づいたのは、AIがやっていたのは全部「横に並べて比べる」仕事で、決めたのは毎回人だった、ということでした。言い換えて予約する・横並びにして比較する・案を出す・数字を比べる。4つとも、判断を含んでいません。

AIを使うと決めることが減る、と思われがちですが、私たちの現場では逆でした。任せた仕事のぶんだけ、「誰に・何を・どの言葉で」を決める時間が増えました。そこに時間を使えるようになったことが、AIを入れていちばん変わったことだと思っています。

「何を先に決めるか」の順番は、別の記事にまとめています。こちらと合わせて読むと、決める側の仕事が全部そろいます。


今日からできること

  1. 閉店後に、今日あったことを3行でAIに伝える(いちばん出たもの・聞かれたこと・気づいたこと)

  2. 1本の投稿が出るまでの工程を、紙に6つ書き出す

  3. そのうち「判断がいる」工程に印をつける(たいてい1つです)

  4. 印のない工程を1つ選んで、今週だけAIに任せてみる(言い換え・横並びで比較・10案・表)

  5. AIに「なぜ」を聞かない。「どこが違うか」で止める

  6. 出てきた案は、必ずお店の人が1つ選ぶ

目安は、判断がいる工程が1つ、案は10出して1つ選ぶ、です。この線が引けていれば、AIに任せて店の言葉が消えることはないと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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タカたび

地方の「おもろい」を発信する兄妹マーケター「タカたび」です。兵庫県宝塚市を拠点に活動しています。Instagramフォロワー約2.3万人(宝塚市最大規模)。兄は元楽天のECコンサルタント、妹は元地方銀行員。SNS発信とAIのフル活用を武器に、地元企業の集客支援とローカルインフルエンサーの育成に取り組んでいます。このブログでは、地域創生×SNS×AI活用の実践のリアルを毎日公開しています。

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